子どもの手荒れ・あかぎれ|手洗いの季節に切れないための対処を皮膚科医が解説

子どもの手荒れ・あかぎれと手洗い後のケアを示すイラスト

冬になると、子どもの手がガサガサになり、指先が切れて痛がることがあります。

原因は乾燥だけではありません。手を洗う回数と、その洗い方が大きく関わっています。園や学校では一日に何度も手を洗うので、そこに乾燥が重なると一気に荒れます。

この記事の要点

  • 手荒れは水そのものと洗浄剤で起こる刺激性の皮膚炎
  • いちばん効くのは「洗ったら拭く、拭いたら塗る」を習慣にすること
  • 切れて出血する、指先がつるつるに光るときは受診を
目次

どうして手だけ荒れるのですか?

手は、体のなかでいちばん洗われる場所だからです。

皮膚の表面には、水分を逃がさないための脂と、保湿成分があります。洗うたびに、汚れといっしょにこれらも流れます。失われたぶんは時間をかけて戻りますが、洗う回数が増えるほど、その回復が追いつかなくなっていきます。何回までなら安全、という線引きがあるわけではありません。

そこに冬の乾燥が重なると、皮膚が硬くなり、曲げ伸ばしの多い指先や関節で裂けます。これがあかぎれです。

見落とされやすいのが水そのものです。石けんを使わなくても、手が濡れて乾くことを繰り返すだけで、皮膚のバリアは傷みます。

しもやけとは違いますか?

違います。対処も変わるので、見分けてください。

手荒れ・あかぎれ しもやけ
見た目 カサカサ、ひび割れ、裂ける 赤紫色に、ぼってり腫れる
症状 動かすと痛い 温まるとかゆい
場所 指先、関節、手のひら 指全体、耳、鼻
原因 洗いすぎ、乾燥 寒暖差

しもやけについては子どものしもやけで詳しく書きました。両方が同時に起きている子もいます。

家では何をすればいいですか?

1. 洗ったあと、きちんと拭く

これが最優先です。濡れたまま放置するのが、いちばん皮膚を傷めます。

子どもは手を振って終わりにしがちです。ハンカチを持たせて、指の間まで押さえて拭くよう教えてください。こすらず、押さえるように。

2. 拭いたら塗る

「洗う→拭く→塗る」を1セットにします。園に塗るものを持たせられない場合は、朝の登園前、帰宅後、寝る前の3回でも違います。

塗るタイミングでいちばん効くのは寝る前です。夜は手を使わないので、薬や保湿剤が働く時間が長く取れます。

3. お湯の温度を下げる

熱いお湯は、それだけ脂を落とします。冬は温かいお湯で洗いたくなりますが、ぬるま湯で十分です。

4. 消毒の使い方に気をつける

アルコールの消毒液は、荒れた皮膚にはしみます。ひび割れているときは、消毒より石けんで洗うほうが痛くありません。使う場合は、乾いたあとに保湿を重ねてください。

どんなものを塗ればいいですか?

状態 向くもの
カサカサしている ヘパリン類似物質、ワセリンなど。ふだん使っている保湿剤で構いません
ひび割れて痛い ワセリン(しみない)
赤く、かゆみがある 炎症を抑える外用薬が要ることも。受診を

注意したいのが尿素です。硬くなった皮膚を柔らかくする働きがあるので手荒れによく使われますが、切れているところにはしみます。子どもが痛がる場合は、尿素の入っていないものに替えてください。

同じことがヘパリン類似物質にも言えます。血行をよくする働きがあるぶん、傷があるとしみたり、かゆみが出たりすることがあります。乾燥しているところには使えますが、切れているところだけはワセリンに替える——という使い分けが現実的です。

夜だけワセリンを厚めに塗って手袋や靴下をかぶせると、朝の状態が変わります。嫌がらない子には試す価値があります。

受診したほうがいいのは、どんなときですか?

  • ひび割れから出血している、痛くて物が持てない
  • 赤みやかゆみが強く、手の甲や手首まで広がっている
  • 指先がつるつるに光って、指紋が消えている
  • 水ぶくれ、皮がむける、じくじくする
  • 保湿を2週間続けても変わらない

3つめは見逃されやすいサインです。指先の皮膚がすり減って指紋が見えなくなっている状態は、保湿だけでは戻りません。外用薬で一度炎症を抑える必要があります。

また、手だけでなく足の裏にも同じような症状がある場合は、水虫など別の病気のこともあります。自己判断で市販薬を使う前に、一度診せてください。

まとめ

  • 手荒れは、洗う回数と水そのもので起こります。石けんだけが原因ではありません
  • いちばん効くのは「洗ったら拭く、拭いたら塗る」
  • 塗るなら寝る前がもっとも効率的です
  • ひび割れているところに尿素はしみます。ワセリンに替えてください
  • 指紋が消えている、出血しているときは受診してください

手は毎日使う場所なので、治りかけては戻るを繰り返します。完全に治すより、切れない状態を保つことを目標にしてください。

参考にした資料

  • 日本皮膚科学会 接触皮膚炎診療ガイドライン
  • アトピー性皮膚炎診療ガイドライン2024(日本皮膚科学会・日本アレルギー学会)
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この記事を書いた人

皮膚科医。大学病院で一般皮膚科診療とレーザー治療に従事しています。自身も幼いころからアトピー性皮膚炎があり、敏感肌・乾燥肌と付き合ってきました。診療で大切にしているのは、その方にとってのBESTを一緒に探すこと。つらい症状を落ち着かせることも、肌が弱いからと諦めていた希望も、同じ肌についての大切な相談だと考えています。ご自身の肌を理解して、自分でも手当てできるようになるために。診察室では時間が足りない部分を、根拠とあわせて書いています。

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